グレーゾーン金利が生まれた背景

最近テレビで目にすることの多い「過払い金請求」のCM。
正確には数年前から弁護士や司法書士が働きかけていますが、カードローン会社側に過払い金の返還請求を迫っています。
この払いすぎた金利を、巷ではグレーゾーン金利と呼んでいます。今回はそんなグレーゾーン金利について紹介していきます。

グレーゾーン金利とは?

グレーゾーン金利は、各クレジット・カードローン会社が、法律によって定められている利息の上限を超えて利息を請求し続けていた件に対して、名付けられた高すぎる金利のことを言います。
期間としては、1954年の施行から2010年6月に行われた法改正の間なので、約56年もの長期間に渡ってグレーゾーン金利は存在していたことになります。
何故こんなことになっていたのでしょうか?

利息制限法と出資法

2つの法律が定める金利の違いに差があったことで問題が発生しております。
この法律の役割は以下のようになっています。
利息制限法:債権者が貸付時にどれくらいの利息を設定して良いのかを定めた法律 出資法:罰則が適用される上限金利を定めた法律となっています。
このように、1954年時点では金利に関する法律では両者の役割が微妙に違うことで紛らわしいが、2つ存在してしまっていたというのが実情です。
利息制限法については、上限金利は現在と同じ15~20%となっており、大きな問題にはなっていませんでしたが問題は出資法で、当時は29.2%という高金利で借り入れを行っておりました。
約10%もの差が生まれてしまっているので、それは金額にも大きな違いが出てきます。
試しに、年率29.2%でシミュレーションしてみます。
80万円を30日間借りた場合についてです。
計算方法は、以下の計算式に当てはめるので「借入残高×年率÷365日×30日」となり、実際の数値で当て込むと「80万円×29.2%÷365日×30日=19,200円」となり、わずか1ヶ月の借入で約2万円の利息を請求されてしまうという事態になってしまいます。
これでは大元の残高が減らないのはしょうがないことです。複数の金融機関から融資を受けていた場合については、その高すぎる金利を払えずに借りてはまた返すという負のスパイラルに陥ってしまうということになってしまうのです。

何故グレーゾーン金利が存在していたか?

2010年の法改正以前は、上限金利を超えた際の罰則については出資法に定められており、利息制限法には明確な記載はありませんでした。
利息制限法の規定については、出資法に触れない範囲で借主の同意を得られた場合については、出資法の上限である29.2%の金利を受け取れるという、明確な記載のないまさにグレーゾーンという言葉が似合う事態となっておりました。
業者側は、このグレーゾーンの記載にそのまま乗っかって高い金利を請求していたということになるのです。